2015年3月31日火曜日

ICU図書館で借りた400冊から選ぶオススメの9冊

国際基督教大学(ICU)を卒業した。

私が入学した2011年4月から2015年2月までのほぼ4年間にICU図書館で借りた本は、述べ407冊だった。異なり冊数、つまり複数回借りた本を1冊と数えた場合の数は、298冊だった。

日本十進分類法にしたがって述べ冊数を分別すると、やはり私の専攻である言語学(800番台)の本を断トツに多く借りていた。


407冊のうち、レポートや卒業論文など学業のために借りた本は158冊。個人的な読書を楽しむために借りたのが239冊だった。(その他の目的が10冊。)私は、ICU図書館を学術よりも趣味の読書のために多く使っていたことになる。

この記事では、個人的に借りた本の中からおすすめの9冊を厳選してご紹介したい。

紹介の順番は、私が大きく影響を受けた『手仕事の日本』を筆頭に、それとテーマが近いものを2と3に。私の専攻である言語学のまつわるものを4と5に。その他の良書を6、7、8、9に挙げた。それぞれの説明の最後の「初出」に続く年月は、その本をブログで紹介した年月である。

 柳宗悦(1985)『手仕事の日本』岩波書店

あなたに影響を与えた本を1つ教えてくださいと言われたら、迷わずこれを挙げる。本書の初版は戦後すぐの1948年。「民藝」という言葉の生みの親(の一人)であり、調査のため20年の歳月をかけて全国津々浦々を歩きまわった思想家、柳宗悦が、各地に残る手仕事の数々を易しい言葉で書き記す。その後の私の進路を方向づけた書。カットは芹沢銈介。初出:2013年5月。

 寿岳文章(1973)『書物の世界』出版ニュース社
  
『手仕事の日本』に出会う少し前に読んだのがこの『書物の世界』だ。この2冊は全く独立に見つけたのだが、寿岳文章は柳宗悦の民藝運動に参加した人だと後になって知った。寿岳文章はブレイクやダンテの翻訳でも知られるが、書誌学や和紙研究でも多くの著作を残している。本書では、書物はどう変遷してきたのか、書物とはどうあるべきかを語る。本の装丁という世界に目を開かれた本。初出:2013年4月。

 西岡常一(1988)『木に学べ』小学館

記憶が定かではないが、中学校の国語でこの文章を読んだことがあった。大学1年のとき、記憶を頼りに本書を見つけて読んでみたが、寺院建築の強さと宮大工という仕事の底知れなさには恐れ入った。法隆寺解体修理や薬師寺西棟再建などを手がけた20世紀を代表する宮大工、西岡常一のことばひとつひとつが、重く響く。そして、その生粋の奈良弁に引き込まれた。初出:2011年11月。

4 渡辺純男(2010)『言語学入門』三省堂

言語学を学ぶという心づもりがある程度できていて、どんなことを学ぶのかを窺い知ってみたいと思ったら、この本を読むのがいいと思う。この本は言語学の諸分野の基本的な用語を短く分かりやすく解説している。興味がある人には有用かつ面白い。ただし本文は用語の羅列なので、言語(学)の魅力を知りたいと思って読むと、退屈な可能性あり。余談だが、装丁や組版が垢抜けていて好印象。初出:2012年12月。

5 L. Bauer & P. Trudgill. 1998. Language Myth. Penguin Books.

タイトルを文字通り訳せば、「言語の神話」。「ある言語は他の言語より難しい」、「マスコミは言葉を乱している」など、巷でささやかれる言語に関する噂や誤認を、言語学者たちがたたっ斬る。言語学を学んでみたい高校生や大学新入生、知識はないがことばに関心ががある人におすすめ。大学入試レベルの英語があれば、原書も難しくない。入手は難しいが、邦訳は『言語学的にいえば…』。初出:2014年4月。

6 小田実(1961)『何でも見てやろう』河出書房新社

この9冊の中では、おそらくいちばん一般受けしそうな本。本書は、著者がアメリカ留学を終えたのち、日本への帰る道すがら訪れた、欧州、中東、アジアを、1日1ドルという生活で生きながらえつつ見て歩いた紀行。まだ海外旅行が一般的でなかった時代の世界一周だけあり、いちいち興味深い。海外旅行に行きたい人に特におすすめ。著者のユーモアあふれる文体もおすすめ。見習いたい。初出:2013年10月。

7 藤枝晃(1999)『文字の文化史』講談社学術文庫

甲骨文字以来の中国3000年の漢字の歴史をおさらいするには、最適の本。書道をするのなら、実践で字を書く練習をするだけでなく、知識として漢字の歴史をひと通り知っておいたほうがいい。著者は文字学の盛んな京都大学の先生で、自身も書道に造詣が深い。文章は分かりやすく、文量も適度。1971年初版。記事にはしていないが、2014年の夏に読んだ。

8 渡辺保史(2001)『情報デザイン入門』平凡社新書

どういう風の吹き回しか、デザイン、特に情報デザインに凝った時期があった。この新書がきっかけで、TEDを始めたR・S・ワーマンを始め、アルビン・トフラー、ヤコブ・ニールセン、すぐ後に紹介するD・A・ノーマンといった大家を知った。今ではデザイン熱は下がったものの、彼らの本を読んだことが今日の自分の情報デザイン(ブログ、チラシ、文書など)における実践と評価に活きていることは間違いない。初出:2011年11月。

9 D・A・ノーマン(1990)『誰のためのデザイン?』新曜社

私にとって、その後の情報表現に関する考えの根底となった良書。あるプロダクトが使いづらかったら? あるウェブサイトで知りたい情報が見つからなかったら? それは自分のせいではなく、作った側の問題なのだ・・・。本書の内容はデザイナー必知のことなのだろうが、ハード/ソフトを問わず何かモノを作り出す人であるならば(つまり基本的にあらゆる人が)知っておくべきことではないか。初出:2012年6月。


以上。

ICU図書館には、私は借りていないけれども素晴らしい本がたくさんある。当然ながら、ICU図書館以外の図書館で借りた本にも、ぜひおすすめしたい物がたくさんあった。もちろん買った本にも。だが敢えて、私が「ICU図書館」で「借りた」本から選ぶという制限を設けた。あまり意味のない制限であった。

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