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僕がICU図書館の選書権をもらったら入れたい本4冊

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ICUの図書館( @ICU_lib )はつい先日、「誰も借りてくれない本フェア」がNHKや朝日新聞をはじめ各種メディアに取り上げられ、話題になった。起爆剤となった 件のツイート は、現在19,000リツイートを超えている。だが、その「フェア」のすぐ脇で、これまた面白い展示を行っていたことを知っている人は、あまり多くないと思う。 「スカベンジャー・ハント」という、「調べ物競争(?)」が2年前から行われている。参加者は個人またはグループで、ICU図書館にまつわる超マニアックなクイズを20問解く。問題の中には、図書館の隅の隅にしまわれた資料をひっくり返して調べないと分からないようなものも少なくない。最も多く正解した参加者は、図書館に自分の好きな本を入れていい権利(選書権)を5万円分もらえる。2位の人は3万円分、3位の人は2万円分の選書権をもらえる。 3回目となる「スカベンジャー・ハント2014」の入賞者の選んだ36冊の本が、入賞者手作りのポップ付きで、7日間だけ 展示されていた のである。 選ばれた本は、 ICUのブクログアカウント の「スカベンジャー・ハント2014」のカテゴリから見ることができる。 このイベント、楽しそうだとずっと思っていて、私は、入賞されたみなさんのセレクションをとても楽しく眺めた。本そのものは、私の専門外のものばかりだったので、内容にそれほど興味を持ったわけではない。じゃあ何が面白かったかって、「あるマニアな学術分野に並々ならぬ探究心を持っていて、◯◯を知りたい!という熱意に突き動かされている同世代の選ぶ書物」というのが、それはもう「そそる」のである。何て言ったらいいのか。そういう方も、そういう方に選ばれた本も、すごくカッコよくないか。 ある分野を追求している人が欲しがるような本は、きっと一流に違いない。彼らの世界が、自分の世界の中に容赦なく入り込んでくる。入賞者のインタビューは、学内の人しか見られないようになっているので詳しくは書けないが、例えば「明治期の大外交官某の大ファンだから、あの本を入れたい」とか、「微積ができないと理解不能な、480ドルくらいのあの分子料理の本を入れたい」だとか、大体こんな調子なのである。それを読んで私は、まず、そんな目が回るようなマニア(しかも多くは後輩!)がICUにいることに感激し、次に、みなさん

失われた「夜の寝覚」最終部 新発見の断簡を見に

平安後期の王朝文学「夜の寝覚」の欠落した最終部の一部が発見されたと、読売新聞が5月27日付朝刊で報道した。 菅原孝標女の作とも言われる「夜の寝覚」は、最終部など一部が現在に至るまでに失われていた。しかし 実践女子大学 が京都市で購入した断簡を調べたところ、冒頭部に記されている和歌「知らざりしやまぢの月をひとり見て よになき身とや思ひいづらん」 [1] が決め手となって、「夜の寝覚」の最終部だと同定できた。これまで欠落部分のものと推測されてきた一連の断簡とも類似するため、合わせて2000文字程度を復元できる可能性が出てきたという。 ちなみにこの断簡は、南北朝時代の後光厳院によって写されたという極札(筆跡鑑定書)が付いていた。「極めつけ」の語源である。 さて、私はこのニュースを上記紙面上で知ったのだが、告白すると、それまでに「夜の寝覚」という作品名を聞いたことすらなかった。では、なぜこんなことをブログに書くのか。 というのも、くだんの断簡の筆跡が大変美しかったからである。文学研究上の意義も大きいけれども、同時に書としても、非常に優れていると思ったのである。 この断簡(書の世界では古筆切ともいう)は、6月7日から10日までの4日間、渋谷の実践女子大学で展示されていた。書道部の先輩と一緒に昨日、この目で見てきた。 この古筆切は、それ自身は縦16.9cm、横14.8cmの小さな紙ッ切れである。折り紙くらいの大きさである。しかし古筆切は一般に、鑑賞のために掛け軸にされていることが多く、この「夜の寝覚」最終部も例外ではなかった。新聞紙面には断簡の本体しか載っていなかったが、実物は幅4、50cm、高さは人の身長を優に超えるであろう細長い軸に表装されていて、裂(きれ)は紺地に金色(?)の大きな菊紋の入ったものだった。たいへん格調高い表装であった。その書は、細太のはっきりした瑞々しく色っぽい線であった。 その他のメディア報道 5月29日NHKニュース おはよう日本 朝日新聞6月3日付夕刊 鑑定した横井孝教授の論文は武蔵野書院の こちら 。武蔵野書院の ブログ記事 。 [1]和歌原文:志らさ里しやま地の月を日と利み帝/よ尓なき身とや思日いつらん(「/」は改行。)

ミッドナイトウォーク2014 ディズニーランドから三鷹まで

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今年も、ミッドナイトウォークで、ディズニーランドから三鷹のICUまでの40kmを徹夜で歩き通した。ついに、4年連続で参加してしまった。達成感もひとしおである。 地図は東から、舞浜駅、木場公園、靖国神社、新宿駅(休憩地点など) ミッドナイトウォークは、ICUまでの40kmを歩くイベントで、ICUのサークルRunnersが主催する。毎年5月下旬か6月上旬に行われていて、スタート地点は毎年異なる。今年は5月30日金曜日の夜に、ディズニーランドの最寄り駅、舞浜をスタートし、翌朝にICUにゴールした。 私は1年生のときから、毎回参加している。ちなみに私の参加した4年間では、出発地は東京スカイツリーと舞浜駅が交互であった。(参考: 1年生のとき 。 2年生のとき 。 3年生のとき 。) Runners部員のスタッフは除き、今回の参加者は50名以下であった。卒業生については存じ上げないが、同学年のRunners部員以外の一般参加者で、4年連続参加したのは私だけである。 スタートは、例年並みの夜9時40分頃。中間地点の新宿駅には、確か朝5時頃到着といつも通りであった。新宿駅からICUまでの17kmについては、今年は10人ほどのグループでまとまって歩かなければいけなかったため、例年よりペースは落ちた。ゴールしたのは9時40分頃と、過去最も遅かった。(最早記録は去年の8時50分。)出発から到着まで、休憩も含めてちょうど12時間だった。 半袖では寒いくらいだった深夜の空気も、やがて穏やかになり、日が明けて8時くらいからは、帽子を取り出したほどに朝日が後頭部に照った。 今回は途中の写真を1枚しか撮らなかったので、2年前の写真。 出発して最初の方の大きい橋。 新宿駅からの甲州街道+吉祥寺通り+東八道路のトリプルパンチは本当に辛い。曲がり角のほとんど無い単調な道で、信号も多く、交通量が多くうるさい。いつまで歩いても目的地が見えないのは、絶望に近いものがある。経験のない初参加者には、その恐怖は倍増するだろう。足の疲労は容赦無い。 今年は、歩行中は例年並みに足の裏が痛んだが、ゴール後の痛みが意外にも軽かった。1時間あまり休んだ後には、ほぼ通常通りに歩けた。途中の休憩のしかたがよかったのだろうか、この1年で体力がついたのだろうか。いや、ゆっくり歩いた