中国旅行 7日目 歴史博物館と凉皮

今日の午前中はつまらない時間のつぶし方をしてしまったが、午後から夜は、今までで一番といってもいい充実ぶりだった。

午前中は、明日の上海行きの夜行列車を取るためだけに費やしてしまった。

上海から西安に来たのと同じ席のチケットは売り切れていたので、一番高い寝台席しか残っていなかった。けれども朝にネットで調べたら、時間は2倍かかるが(19時間!)安いチケットが数十枚残っていた。それだ、と思ってチケット売り場へ足早に向かった。そしたら、売り場へ歩いて行くものの15分で売り切れてしまったらしい。売り場のネエちゃんがそのチケットは「無い無い」と繰り返す。

こういう、大金を払わなくて済むか否かという事態のときに、全く感情もなく応答するネエちゃんには、全く腹が立つ。

僕の欲しかったチケットが本当に売り切れていたことをネットで確かめた上で、しぶしぶ16000円する高級な席を買った。実は飛行機に乗った方がすこし安く済むのだが、空港が郊外にあり、いろいろ事情を勘案すると列車が良かった。

上海ー西安間は1500キロあるので、たぶん本州の端から端までくらいの距離がある。その距離を、寝台で16000円で行けるだから、日本の物価で考えれば安いと言えなくも無い。

とはいえ、たかだか列車の切符に10000歩くらい歩いてしまった。まったく馬鹿げている。もっと早くからチケットを買っていれば良かったのだ。


午後は、地下鉄にのって西安歴史博物館に行って来た。午後の無料券を配布する時間を待って(日本時間の2:46に黙祷もして)から行った。

上海と比べて、街の大きさで言えば西安は劣るが、博物館のクオリティと人の入りで言えば、西安に軍杯が上がる。水曜日だというのに、すごい人の入りようなのに驚いた。街中ではほとんど見ない欧米人もかなりいた。歴史博物館と銘打っているとおり、西安がある陝西省の、有史以前から隋唐あたりまでの歴史を出土物で見ることができる。

古いものは原人の頭骨から、新しいものは唐代の唐三彩まで展示してある。書道関係で言うと、文字が鋳込まれた各種青銅器、石鼓文(のレプリカ)、多くの文字瓦当(屋根のふちの丸い瓦のこと)、数点の漢代印章があった。

石鼓文(せっこぶん)は、本物は確か北京にあるので、レプリカにしても、まさか見られるとは思っていなかった。石鼓文は僕の好きな古典の一つで、何回も写真で目にしていた。想像していたより、はるかに大きかった。その存在感は、その文字史上の重要性をも物語っているようにも見えた。


夜は、昨日宿で一緒だった人とご飯に行く約束だった。その人というのが、ネイティブ並みに英語を話す中国人で、日焼けしたイケメン日本人みたいな顔つきで、その上長髪を後ろで束ねているものだから、初めて見たとき全く国籍がわからなかった。例えて言うなら、中国系アメリカ人のサーファーといったところだろうか。

昨夜彼と仲良くなり、ふと僕が、西安では凉皮(リアンピー)が有名らしいね、と話したら、じゃあ明日連れてってやるよ、ということになったのだ。凉皮という料理が西安名物だというのは、上海のホステルで聞いていたが、まだどんなものかも調べず、食べていなかった。

凉皮は、僕がまさしく昨日見つけたムスリム街で食べられるらしい。凉皮の正体は、ほうとうを使って辛めに味付けした冷やし中華といった感じで、 麺は、いままで中国で食べたものと違いコシがあった。これは日本人にも好かれそうな料理だ。

凉皮ですでに腹がふくれてしまったが、その後は彼の友達とも合流し3人で、いわばムスリム街グルメ巡りをした。ムスリム街は、夜にその本領を発揮する。

この界隈では有名だという店の肉夹馍(ロウジアモー・牛肉サンドイッチ)を食べ、続いてほうとうよりさらに幅の広い麺が入った裤带面(クーダイミエン・つまり「ベルト麺」)や、やけに漢字の難しい「Biang biang 面」(これもベルト麺だが味付けが違う)、おまけにヒツジのレバーの串焼きをいただいた。どれもほぼ満腹状態で食べたのでよく味わえなかったのが残念ではあったが、どれもうまかった。

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