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六つ目の四角い籠を編みました

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8月27日の記事に、六つ目編みでは四角い籠は編めないと書いた。六角形を一回りずつ大きくしていくのが六つ目編みなのだから、底の編み上がりは六角形にしかならないということである。 正六角形の底の小籠 しかしそれを書いたすぐ数日後、小布施町に観光に行った際、六つ目で編んだ四角い籠を見つけてしまった。土産物を入れる容器として、使われていたのである。よくよく観察してみると、腰上げ(底から側面に連なる部分)の一部に、五角形を七角形を連続して作ることで四角い籠が編めるようだ。 後日私の先生に、六つ目の四角い籠を編んだことがあるかどうか尋ねてみると、ある、とおっしゃる。須賀川竹細工では四角い籠は普通編まないけれども、どうやら一般的にはそれほど珍しいことでもないようだ。先日の記述は私の勉強不足でした。ごめんなさい・・・。 商品、本、机などなど、四角いモノが溢れ、なおかつ合理性が求められる現代にあっては、四角い籠は何かと便利なのである。モノを入れるのにも、その籠を置いておくのにも、無駄なく収まって都合がいい。 試しに私も作ってみた。上の写真の通り。本体の材料は根曲竹ではなく、近所のホームセンターで篠竹として売られていたものである(少々硬くて薄汚れていたが)。 編み方は大して難しくなく、8月に苦労して八つ目編みをしたのは一体何だったのだという気持ちになった。ただし縁の芯竹を本体に合わせて上手く曲げることができず、そこはまだまだ課題である。

武蔵野美術大学の竹工コレクション

東京都小平市にある 武蔵野美術大学 は、日本を代表する民俗学者・宮本常一が過去に教授を務めていたということもあり、膨大な数の民俗資料を収蔵している。ポップで垢抜けた印象の強いムサビだが、実は民俗学という渋い方面でもかなり強いのだ。竹工品の収蔵品も、約3,000点と、極めて多い。 ムサビは、私のいた大学からそう遠くないこともあり、2度ほど見学に行ったことがある。(先輩の友達がムサビ生だった。)けれども、当時は宮本常一を知らず、竹細工にもそれほど興味がなかったので、民具コレクションのことは知らなかった。今となっては、遠くてなかなか行けなくなってしまったことが悔やまれる。 ムサビの 民俗資料室 のデータベースで、長野県の竹細工を調べてみると、90件以上ヒットする。戸隠の根曲竹細工と、松本のみすず細工が中心だ。長野県に限らずとも、多様な形の竹工品があり、 勉強になる 。 いつかムサビにお邪魔して、竹細工コレクションをこの目で拝見したい。

新竹の季節になりました

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春に生えたタケノコが、一人前の竹に成長すると、繊維がしっかりして竹細工に使うことができるようになる。1年生の新竹は、ここ須賀川では「一年コ」、戸隠では「ワカ」などとよばれ、緑が美しく、しなやかな性質を持つ。 その一年コを取るのに最適の時期が、昔から、9月中旬から2週間程度だと言われている。9月11日が竹切りの解禁日という地域もあれば、彼岸(秋分)を過ぎてからがいいと言う人もいる。というのも、早過ぎると竹が水分を多く含むために後々カビやすく、かつ虫食いにも会いやすい。逆に遅すぎると、繊維が固くなってしまうのだ。一昔前は、その時期を外して竹を切りに行くことは御法度だったという。 ちなみに現在の須賀川では、その決まりを厳密には守ってはいず、9月中旬から翌年の春くらいまでは、一年コを取りに行くのだが。 この採取の適期は、根曲竹に限ったことではなく、およそどの竹に当てはまる。 松本の私の実家の近くに、篠竹というこれまた細い竹が生えており、先日帰省したときに、1年生の篠竹を切りに行った。(地域の土地に生えているので、切っても大丈夫。)篠竹の竹細工は、特に岩手県が有名である。 篠竹の林 軽トラに積んだ篠竹 クローズアップ 全く手入れされていない竹林なので、古い竹が密集して生えていた。虫に食われているものも多い。新竹を探して、40本ほど採ってきたが、短い松本滞在中には割り切れなかったので、一部だけ持ってきた。さしあたっては、バッグ形のかごを編む予定である。