梶井基次郎「檸檬」「城のある町にて」ほか

梶井基次郎の文章は美しい、彼のルックスと文章の美しさとのギャップが大きい(梶井基次郎カワイソス)、という風の噂を聞いて、彼の小説の中から「檸檬」、「城のある町にて」、「路上」、「冬の日」を読んでみました。

檸檬 (新潮文庫) [文庫] / 梶井 基次郎 (著); 新潮社 (刊)



思ったほど文章が美しいとは感じられませんでしたが、彼独自の小説を感じることができました。梶井基次郎の作品の特徴は、自身の体験を基に、主人公の境遇の記述は最低限に抑えて、その心の動きを描こうとしたことだと言えるでしょうか。こういうのは私小説と言われるそうですね。特に彼が患っていた肺結核の苦しみを描いたものが多く、作品に鬱々とした雰囲気が感じられました。

自身の体験の再構成という彼の作風ゆえ、小説というよりも、個人的に書かれた、まとまりのない日常の記述というふうに見えなくもない部分が時たまありました。そういう点から見ても、有名な「檸檬」は私に一番なじみやすい作品でした。

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