一世を風靡した年表:松岡正剛「情報の歴史」

13日の記事で紹介した本に、情報デザインの成功例として言及されていた、情報の歴史―象形文字から人工知能まで (Books in form (Special)) [大型本] / 編集工学研究所 (著); 松岡 正剛 (監修); NTT出版 (刊)という大著です。



本書は、洞窟壁画からインターネット拡大に至る歴史を、情報の記録という観点から編集した400ページを超す壮大な年表です。初版発行は1990年(増補版は1996年)ですが、出版の直後は、情報史ブームが起きるほどの評判だったそうです。

本書には、これまでの年表の常識を覆す画期的なデザインが、2つ取り入れられています。まず、日本史と世界史の区別が無いこと。古代には東西の分類があるものの、11世紀以降は地域による区分を全く無くし、見開きごとに設定された5つのテーマに従って項目が並べられています。もう1つは、ページのここかしこに付いた、縦横、大小、カラフルな見出しです。膨大な情報にあふれ返る本書も、色分けされた見出しを見ることで時代の大筋を捉えることができます。

その上、情報史以外の一般歴史事項もたくさん掲載されていて、どの時代も均等に重視しています。例えば、私も少しは知っている書道関連で見てみると、「書聖」王羲之(おうぎし)は4世紀の東アジアの列に載っているのはもちろん(しかも大見出しで)、私は好きだけど一般には認知度が皆無の「石門頌」という作品までも、ちゃっかり2世紀の中国の列に載っていました。高校世界史で習ったことでここに載っていないものは無いのではないかと、私は踏んでいます。

本書は読むための本ではありませんが、歴史好きの人や、わが子に歴史を好きになってほしい親御さんには、ぜひ手に取ってもらいたい大作です。

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