2011年11月13日日曜日

情報デザインの新書:ウェブのデザインが大半を決める

これからの製品はデザインやで。
――松下幸之助、欧米視察後の発言

私は、デザインが好きです。デザインにもいろいろありますが、デザインと聞いておそらく一般的にイメージされるであろうグラフィックデザイン、それと、ウェブデザインにとても関心があります。もっとも、私には知識も技術も無いので、好きといっても、大抵はきれいなデザインを見るのが好きといった程度です。そんな私の乏しい知識から好きなグラフィックデザイナーを挙げるとすれば、有名どころになりますが佐藤可士和です。ウェブデザインについても、ページのデザインが洗練されていて、使いやすさを最重視したものは見ていて(使っていて)心地いいですが、大量の情報を羅列したり、ごちゃごちゃに配置したり、色の使い方が下手だったりするページは、見る気がしなくなります。

先日読んだ本は、そうした情報のデザインを論じた新書です。本書の発行が、インターネットが日本でも社会に浸透してきた2001年だというのにも、興味を惹かれました。当時の(ウェブ)デザインがどうで、今とどう違うのかを知りたかったからです。(私は、黎明期のコンピューターやインターネットにも実は興味があります。)

情報デザイン入門―インターネット時代の表現術 (平凡社新書) [新書] / 渡辺 保史 (著); 平凡社 (刊)



さて、本書に星をあげるとすれば、4つと半分って感じです。最初のうちは内容が濃密で、新たな発見がいっぱいで、こりゃスゲーと思っていたのですが、後半は内容が薄くなってきて、(私にとって)面白くなくなってきました。最後の2章は、デザインと人間の関係の概念的な論評や、地域社会規模でのメディア活用についての話が多くなってくるので、そういったことが好きな方には楽しいのですが、私の関心事ではありませんでした。なので星5つはあげることはできません。

情報デザインとは、大量の個々の情報を、分かりやすく編集(配列、階層化、視覚化など)することです。職業別電話帳を例にとると、個々の会社名やらの項目をでたらめに羅列しただけでは、目当ての情報にたどり着けないというより、もはやそれは使い手の便宜を無視しており、電話帳として意味をなしていません。ですからそれらは先ず「書店」、「結婚式」、「自転車」などのカテゴリーに分類され、カテゴリーの中で会社名(店舗名)により50音順(アルファベット順)に並べられ、さらにカテゴリー自体も50音順に並べられる、というように、完全に秩序立てられついます。本ブログも、過去の記事は月ごとに配列され、またカテゴリー別にも読むことができます。私個人としては、なるべくシンプルにというモットーのもと、関連した記事同士でリンクを貼ったり、読者にもっと詳しい情報を提供、または情報の出所を明らかにするために外部へのリンクを貼ったり、タイトルがなるべく記事内容の要約になるようにしたりしてきたつもりです。これらはすべて情報のデザインです。

また著者は、情報と使い手との境界に位置する、2者間のやり取りの媒体としての、インターフェイスのデザインにも目を向けています。インターフェイスの最たる例はコンピューターのディスプレイ、キーボード、マウスですが、80年代前半、もしくはそれ以前のコンピューターは、キーボードと使ってコマンド(命令文)を打ち込まなければ操作できなかったそうです。ですが1984年に登場したAppleのMacが、GUI(Graphical User Interface)という革新的なシステムを導入して以来、ユーザーは画面のアイコンをクリックするだけで操作できるようになりました。ですが、著者は(10年前にして既に)GUIにいまだ残る使いにくさを指摘し、GUIに代わる新しいインターフェイスを模索します。ポストGUI、著者によれば、それは人間の体を使って、直感的な情報操作を可能にする(当時における)次世代インターフェイスです。

GUI以上のインターフェイスなどあるのか、と私は思っていましたが、読み進めるうちに、現代の携帯情報端末を語る上で欠かせないアイテム、タッチパネルが、まさしくそれではないかと気づき、著者も先見の明に驚きました。画面のスクロールや縮小、拡大をはじめ、タッチパネルは指による直観的な操作を実現しています。

本書から得たものはとても多かったのですが、ここで1つ付け加えておくと、当時インターネット普及とともに情報デザインの進展が求められ、様々な面白いデザイン、インターフェイスの開発が進んでいましたが、ユニークすぎて、現代では実現化が難しいのではないか、または普及するには有用性が少ないのではないかと思わせるアイデアが少なからずありました。悪く言えば、インターネットを誰でも簡単に使えるようになって、調子に乗っていろいろ作りすぎたといった感じです。

最後に、私が本書を読んで知って、もっと知りたいと思った人やことへのリンクを貼っておきます。本書な発行年が発行年なため、更新を休止していたり、デザインが古かったりするページがあるのが残念です。

1. 80年代から先駆的な情報をデザインしてきた「情報建築家」、リチャード・ソール・ワーマン(Richard Saul Wurman)(公式サイト、英語
2. 著書、「第三の波」で「生産消費者(prosumer)」の台頭を予見した未来学者、アルビン・トフラー(Alvin Toffler)
3. ユーザビリティ(使いやすさ)に関する第一人者、ヤコブ・ニールセン(Jakob Nielsen)(公式サイト、英語
4. ロンドン大、マーティン・ドッジ(Martin Dodge)によるサイバースペースの可視化(An Atlas of Cyber-spaces(更新停止))
5. 出版後、情報文化技術史を巻き起こした、情報の歴史―象形文字から人工知能まで (Books in form (Special)) [大型本] / 編集工学研究所 (著); 松岡 正剛 (監修); NTT出版 (刊)

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