佐藤進一『花押を読む』
佐藤進一(1988)『花押を読む』平凡社
「花押(かおう)は自署の代わりに用いられる記号もしくは符号であって、その起源は自署の草書体にある。草書体の自署を草名とよび、草名の筆順、形状がとうてい普通の文字とは見なしえない特殊性を帯びたものを花押という」(本書10ページ)。
「花押(かおう)は自署の代わりに用いられる記号もしくは符号であって、その起源は自署の草書体にある。草書体の自署を草名とよび、草名の筆順、形状がとうてい普通の文字とは見なしえない特殊性を帯びたものを花押という」(本書10ページ)。
漢字で書かれた古文書の中に紛れ込んだ、解読不能の奇妙な黒いぐるぐるした記号(花押(リンク先Wikipedia))をこれまで何度か見て、その浮いた存在に、毎度不思議な感覚を覚えていた。
興味があるほどではないが、花押はサインの一種であることくらいしか知らなかったので、本を読んでみることにした。花押のような分野にも、しっかり本はあった。
本書は、花押の大雑把な歴史もひもとくが、大部分は花押の列挙と解読である。花押はほぼすべて書いた本人の名前の一部らしいが、解読は専門家にも難しいようで、著者の説明は苦しい所も多い。なので私は眉に唾をつけて読むことにした。だから本書の解説は大して信じていないが、もちろん読む前よりは随分勉強になった。今後の研究の発展に期待したい……にしても、これ以上の伸びしろはあまり多くない分野か……?
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