2012年10月17日水曜日

語学好きと言語学者の卵へ:AERA MOOK『外国語学がわかる。』

大学でタイ語講習会が開かれると知るや、実用性などというものに考えも及ばずに参加してしまったり、なんとなく教養が深まるかなと、詩にも聖書学にも興味もないのにラテン語を数日かじり、授業もとろうとまでした(が難しくて諦めた)私のような、物好きや、もしくは言語学を学ぼうとしている人にはぜひおすすめな、『外国語学がわかる。』。この本、めっちゃ面白い!

朝日新聞社アエラ編集部(1996)『外国語学がわかる。 (アエラムック―やわらかアカデミズム「学問がわかる。」シリーズ (14))』朝日新聞社

巻頭言は故千野栄一氏と、いきなりビッグ登場できっぷがよい。ムックのくせに、これだけで気合の入り具合が感じられる。

「25言語の25人」という特集では、(編集者が恣意的に選んだ)有名どころの言語25が、各言語の第一線の研究者によって、見開き2ページで解説されている。他にも「少数言語の世界へ」と題して、もう十数言語ある。数十の言語の専門家がここに一同に介しているなんて! こんな本、さがしてもなかなか無いと思う。これはムック(Magazine+bOOK)だから、とにかくスイスイ読めるし情報量も多くて楽しい。ちなみに「大学外国語教育のゆくえ」という特集では、英語教育の特色のある大学の一つとして、ICUも紹介されていた。発行が1996年と古いので、今と全く違うし、ほとんど参考にはならないけれど。

本書は専門的なことは扱わない。言語学の入門書はごまんとあるから難しいことはそれに譲るとして、語学、少数言語の研究、外国語としての日本語などに興味があるけど、難しいことはわからない、となれば、このムックはすこぶる有益だ。

一応、アクティブ・リーディングとして、批判的な物言いをすると、「キーワード55」として挙げられているものが、言語学でも言語史とか言語哲学とか抽象論に寄っている印象を受けた。「エルゴンとエネルゲイア」? 「意味の三角形」? 何それ。選んだ言語学者は本書の対象を意識しているのだろうか。そんな言葉知らなくても、少なくとも私はピンピン言語学を勉強できているし、分からないからといって絶望する必要も全くない。一方、「普遍文法」や「パラメータ」が無いのは驚きだった。私だったら「手話」とか「外来語」とか「音節」とかも入れたい。

それに「ブックガイド50」のなかに『言語学大辞典』(全6巻)が入っているのにはうけた。選者はサドか。

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