2012年2月20日月曜日

多分野のコラムが充実!「世界の文字を楽しむ小事典」

ちまちま3週間くらいかけて読みました。タイトル通り文字の本です。文字関連の本で言うと、随分前に読んだS. R. フィッシャー著「文字の歴史」と川田順三著「無文字社会の歴史」を思い出します。どちらも読み切りはしませんでしたが。

世界の文字を楽しむ小事典 [単行本] / 町田 和彦 (編集); 大修館書店 (刊)



私が高校で文字一般に興味を持ってから、なぜ文字を扱う学問がないのかと疑問に思っていましたが、ICUで言語学を学んで理由がわかりました。理由を2つに分けると、(1)話される言葉は、赤ちゃんの時に全ての人間が無意識に覚える、生物学的にプログラムされた能力であるのに対し、書き言葉は一生懸命勉強しなければ覚えられない後天的なものであるため、人間の言語能力そのものを研究する言語学の対象とはなり得ないから。話し言葉は(特に障害がない限り)地球上のすべての人が習得しますが、西アフリカのモシ族など、文字を持たない民族がたくさんあるのがその例です。

そして(2)書き言葉と話し言葉は発音が一致しないから。ジョージ・バーナード・ショーの有名な例ですが、cough(咳)のghは「フ」、women(女性、複数形)のoは「イ」、nation(国)のtiは「シュ」なのだから、ghotiはfish(魚)と全く同じ発音でいいはずです。こんな一貫性の無い文字を研究していたら、正確な結果など期待できません。

言語の研究に文字は全く当てにならないのです。

話がずれました。今の前提は承知しつつも、しかし、私は文字への興味を失ってはいません。

世界の文字を紹介した本は、探せばたくさんあります。しかし本書が違うのは、単なる辞書で終わっていないという点です。本書で辞書的な部分は、2割くらい。あとの8割は、それぞれ異なる著者によるコラム集です。5ページ前後の様々な分野のコラムで、テーマはラテン文字の成立から、インターネットでのモンゴル文字の表示の問題についてまで、多岐にわたります。この本書のコラムとその多様性が、私の一押しポイントです。

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