古井貞熙『人と対話するコンピュータを創っています』
古井貞熙(2009)『人と対話するコンピュータを創っています―音声認識の最前線―』角川学芸出版
というのを読んだ。
今まで言語学というおよそ就職と結びつきそうにない分野に興味を持って、いくつか本を読んできたわけだが、少しは将来のことも考えねばならぬ。実社会に役に立つ、応用分野の本を一つ読んでみた。人間の声をコンピュータが解読する、音声認識という分野だ。
音声認識といえば、最近取り沙汰されているのはSiriか。他にも、自動字幕付与やコールセンター、口頭によるデータ入力、ゲームからバウリンガル(犬の鳴き声認識)など、音声認識は実用化が進んでおり、また研究も盛んだ。
東工大の教授(現在は名誉教授)が易しく書いた本だが、一部は私には難解だった。ある程度の知識、特に確率論や統計学の知識がないときつい。音声分析ソフトとデジタル信号処理のごく初歩を知っていたことが、せめてもの救いだった。
音声学で食っていく道もあるかなと期待して読んだが、言語学というよりほぼ計算工学で、高度な数学が不可欠なことが判明しややがっかりしている。
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