もし俺がシューマッハの「スモール イズ ビューティフル」を読んだら

読んだ。とりあえず読んだ!

今から約40年前、1973年にイギリスで出版され、ベストセラーになった評論集「スモール イズ ビューティフル」だ。

E. F. Schumacher. Small is Beautiful. 1973.
F・アーンスト・シューマッハ(小島慶三、酒井懋訳)(1986)『スモール イズ ビューティフル』講談社

スモール イズ ビューティフル (講談社学術文庫) [文庫] / F・アーンスト・シューマッハー (著); 小島 慶三, 酒井 懋 (翻訳); 講談社 (刊)

文庫にして400ページ近い、経済学の本書など、普通だったら絶対に読まない。でも、この前の前に読んだ「第三の波」に「スモール イズ ビューティフル」が登場してきて、そのコンセプトに興味を持っていたのだが、そしたら今度は、この前に読んだ「世界を変えるデザイン」にも、その同じ本書が出てきたのだ! しかも「世界を変えるデザイン」に至っては、本書の考え方がそのベースになっていたくらいだ。先日読んだこの2冊は、全く関係のない興味から読んだのだし、出版年もほぼ30年違うので、かなりの偶然の一致である。私はこの偶然を、「本書を読め」というお告げに違いないと解釈した。

と、いささかセンセーショナルは書き方をしたが、読み終えた今、私と本書は最後までうまくやっていけなかった。最初の数十ページ(数ページ?)で、ついていけなくなってしまった。乏しい理解を承知で言うと、私にとって抽象的に過ぎた。加えて著書のシューマッハは宗教や哲学に明るいときたので、それらに暗い私には、彼の言っていることが基本的にさっぱりである。最初の数十ページで挫折を覚悟したが、運命的な本であるだけに三分の一くらいは読もうと思った。だが、1章が短いせいか、息継ぎしながら読めるため、気づくと半分読んでいた。そのころには、私もかろうじて理解できる内容もあったので、ここまで来たからには読み切ろうと思った。

私の貧相な解釈でいいのなら、シューマッハの意図は、現代経済(学)への挑戦だ。シューマッハは60年代初めから、大量生産、環境破壊、資源の枯渇、間違った開発などからの脱却または転換を説いている。オイルショックと時を同じくして出版されたこうした書物が、世間の注目を集めるのも頷ける。

多方面に影響を及ぼしたベストセラーに向かって失礼だが、本書はやはり分からなかった。ただ、開発に関する章は、先日読んだ「世界を変えるデザイン」の根幹となる理論を展開しており、この具体的実践が「世界を変えるデザイン」なんだと思うと、シューマッハの影響力と妥当性に感心する。

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