大学入試問題を使って高校生にも分かりやすく数論を紹介する本

久しぶりに純粋な数学の本を読みました。前回読んだのは実に1年8か月前です。

ちなみにあまり数学の本を読まない理由は、それらは大抵簡単すぎるか、難しすぎるか、やたら文字が多いかのいずれかだからな気がします。例えば、最近本屋に行くにつけ平積みされていてよく見かける面白くて眠れなくなる数学 [単行本(ソフトカバー)] / 桜井 進 (著); PHP研究所 (刊)は、一瞬見てみましたが、知っている内容が多くて、私向けではありませんでした。もしくは、数学界随一のミステリアスな存在で、私の興味を引く数学者ラマヌジャンの伝記は、やたら厚くて文字が細かいので読む気が失せました。

ですが先日ICU図書館で手に取った大学入試問題で語る数論の世界 (ブルーバックス) [新書] / 清水 健一 (著); 講談社 (刊)は、今までに無いものでした。



本のタイトル通り、数論(整数の性質を研究する数学の一分野)を扱った大学入試問題をたくさん使って、古典的な定理から今ホットな未解決問題まで、数論が概観されています。難易度は数IIIくらいで、高3生にちょうど良いくらいです。

もし本書が入試問題抜きだったなら、ただの陳腐で退屈で無機質な、数の不思議の本だったでしょうが、大学入試問題という言葉に、良い意味で敏感に反応していた受験生時代の心をくすぐる、心憎く画期的な本でした。

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