言語学の冬:D・エヴェレット『ピダハン』

年末年始は、言語学で。3冊目。

D・L・エヴェレット(屋代通子訳)(2012)『ピダハン』みすず書房
D. L. Everett. (2008). Don't sleep, there are snakes. Pantheon Books.

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観 [単行本] / ダニエル・L・エヴェレット (著); 屋代 通子 (翻訳); みすず書房 (刊)

ブラジルはアマゾン奥地に暮らす少数民族、ピダハンの文化と言語を探って、彼らを30年にわたり現地調査してきた著者による、初の一般向けの著作。

ピダハンの文化も非常に独特であったが、彼らの言語をよくよく調べてみたら、世界中の言語でも極めて稀な部類に入るものだった。彼らの言語、ピダハン語には、人間言語にあまねくあると信じられてきた幾つかの特性が見られず、チョムスキー以来の言語理論の常識を揺るがすとして言語学界で非常に活発な論争を巻き起こしているらしい。(私の勝手な実感としては)この本が火付け役となって、世界中でこの言語が話題になっている。より詳しくは、私が説明するよりも本書による説明を見たほうがよいだろう。

面白い。新年最初の一冊。

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