言語学の冬:大津由紀雄『はじめて学ぶ言語学』

年末年始は、言語学で。

というわけで、この休暇に数冊、言語学の本を読んでいくつもりだ。紹介の順番は借りた順という以外に他意はないが、初回にふさわしく入門書から。

大津由紀雄 編著(2009)『はじめて学ぶ言語学―ことばの世界をさぐる17章』ミネルヴァ書房

はじめて学ぶ言語学―ことばの世界をさぐる17章 [単行本] / 大津 由紀雄 (著); ミネルヴァ書房 (刊)

本書はICUのメジャー推薦図書のため、いつもなにかと貸し出されていたので、やっと借りられたという感じだ。

本書の特長は、言語学の諸分野を非常に広く網羅している点だ。17章構成で、各分野の専門家16人が1章を担当している。(大津氏は2章執筆。)私なりに整理すると、

序章 基礎の基礎
1 音声学と音韻論
2 形態論
3 統語論
4 意味論
5 語用論
6 コミュニケーション
7 言語獲得
8 バイリンガリズム
9 言語理解
10 発話研究
11 認知言語学
12 言語と脳科学
13 言語の起源と進化
14 方言学
15 歴史言語学
16 言語教育

これは相当欲張りで豪華なセットである。だがやはり、広く扱うからには浅くなるのは避けられないわけで、各章の内容は非常に限られている。例えば1章は、日本語の、しかも連濁という現象しか扱っていない。

それに、章により難易度に差があるのは惜しいと思った。本書の対象は一応高校生以上らしいが、前提知識が必要とされることが少なくなかったので、タイトル通り「はじめて学ぶ」人には、正直きつい。

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