2012年5月9日水曜日

数十ものサヴァン症例:『なぜかれらは天才的能力を示すのか』

なぜかれらは天才的能力を示すのか―サヴァン症候群の驚異 [単行本] / ダロルド・A. トレッファート (著); 高橋 健次 (翻訳); 草思社 (刊) 

I read the Japanese version of Extraordinary People: Understanding Idiot Savants by Darold A. Treffert (Originally published in 1989. New York).

なぜかれらは天才的能力を示すのか―サヴァン症候群の驚異 [単行本] / ダロルド・A. トレッファート (著); 高橋 健次 (翻訳); 草思社 (刊)

長らく読みたかった本をようやく読んだ。

精神発達に遅滞が見られるにも関わらず、ある特定の分野で驚異的な能力を見せる人々、サヴァン。本書は彼らに焦点を当てる。著者のD・トレッファートはサヴァン症候群研究の第一人者であり、本書はこの分野では有名だ。

前半では、19世紀後半から20世紀後半までの、論文に記録されたサヴァンがことごとく紹介されているという。確かに、音楽、四則計算、カレンダー計算、美術、記憶など、数十(100近い?)の具体的症例が記述されている。この章は、読んでいて非常に面白い。

後半は、サヴァンの原因等、科学的記述に充てられている。サヴァン研究の根幹の一つは脳科学だが、予想通り、そのメカニズムは全くといっていいほど分かっていない。数々の説の紹介に留まっており、正直つまらなかった。ただし、サヴァンをテレビで放映されるような「見せ物」という次元ではなく、私たち人間の脳のはたらきを解明する糸口として捉えてほしい。その点でトレッファート氏と同感だ。

以下は内容には関係ないメモだ。

第一に、訳に問題はなかったが、原文自体が下手に思えた(この段落とこの段落を入れ替えた方がいいとか、この文とこの文の話題の整合性が無い、とか)。第二に、小見出しを過剰に付けたせいで、かえって論理の流れが切れてしまっていた。小見出しは本来理解を助けるためのものだが、小見出しの付け過ぎで逆に失敗した稀有な例だ。最後に、一番残念だったのは、原本にはあった参考文献リストが、訳書でまるごと削除されていたことだ。これでは「このソース面白そう!」と思ってもそれにアクセスできない。知の深みへの探求が出来ない。日本では参考文献を載せることが海外ほど強制されていないと感じるのは私だけだろうか。

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