2011年12月25日日曜日

オリバー・サックス医師の「妻を帽子と間違えた男」

Merry Christmas!

先日読んだ「ぼくには数字が風景に見える」に出てきた、妻を帽子とまちがえた男 (サックス・コレクション) [単行本] / オリバー サックス (著); 高見 幸郎, 金沢 泰子 (翻訳); 晶文社 (刊)が面白そうだったので、世間がクリスマスムード一色の中、読みふけっていました。



30年近く前にアメリカで発売された本書はベストセラーで、著者のオリバー・サックスは、「20世紀のもっともすぐれたクリニカル・ライター」と言われています。

本書には、脳神経的な異常により、不思議な症状が現れた人々の話が24編も収められています。すべて著者が診た人ばかりで、タイトルにある、妻を帽子と間違えた男の話や、記憶を無くし、際限なく作話をする男、子供時代のアイルランドの歌が突如として頭の中にリピートし始めた老婆の話など、脳の奥深さを感じずにはいられない奇妙なケースばかりです。

しかし、これらを面白半分に、珍しいものを見るような目で読むのは、著者の意図の全く異なるということを、書き漏らすわけにはいきますまい。サックスにとって、そして医学にとって、最も関心を寄すべき対象は、病気ではなく、それと闘う人間なのです。例えば記憶が無くなって自分のアイデンティティが無くなっても、それを取り戻そうと苦悩する人間こそが、中心に置かれるべきだと彼は考えるのです。事実、本書の24編は、事実の記録というよりは、多少哲学的で、彼の患者への深い愛情が伝わって来ます。(哲学的なことが苦手な私には、本書の「はじめに」の時点で拒絶反応が出たことは隠すべくもない事実ですが、最後まで読んで今は満足しています。)

本書は例に漏れずICU図書館で借りましたが、手に取ってみると表紙はぼろぼろ。ハードカバーが破れてしまいそうだったのか、背表紙はテープで補強してあり、これが数多くのICU生に読まれてきたことを何よりも物語っていました。裏表紙の中、ICU図書館がアナログだった時代の遺物、貸出期間票を見ると、配架日時は1992年の私の誕生日とほぼ同じ。(これ貸出期間票っていうのか。調べるのに苦労したぜ。まだ売られてるのも驚き。)92年の配架時から00年の2月まで、実に46回も借りられていました。年に約6回です。00年もそのスピードは全く落ちていませんでした。

ちなみに、5年とかそのくらい前のこと、途方も無く大きな素数を楽しそうに言い合うとんでもない双子の話を聞いたことがあって、それが本当なのか半信半疑でした。ですがその話が、何と本書に載っていました。今になって、その話が噂でもなんでもないのだと確かめられたのです。

滅多に起こらない、読書を通した良き偶然の出会いでした。

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