2010年9月10日金曜日

回りくどさ、豊富な語彙、変わったルビ


書と文字は面白い (新潮文庫)
作者: 石川 九楊
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 1996/07
メディア: 文庫





書家、石川九楊の本。

タイトルが自分の方向性にドンピシャだったのでもう、すぐに借りました。借りたのはいいのですが…、

私がタイトルを拡大解釈してしまったのか、内容との齟齬を感じないではいられませんでした。というのも、タイトルに「文字」を入れる必要がないのでは? と思ったのです。

本書は石川氏が新聞や雑誌に載せたコラムを130集めており、見開きにコラム1つと図版1つという構成です。内容は書体、書史など書全般にわたるのですが、扱う文字はもっぱら漢字。タイトルに文字とあるから、他の文字について言語学的な考察も少しはあるのかなと思ったのですが、ありませんでした。まあ石川九楊が書家であることを後になって考えれば、至極当然のことですよね…。

一つ文字といっても、言語学的な意味とか、書道的な意味とか、デザイン的な意味がありますよね。私はそこを理解しておくべきでした。

ともかく、言語学的興味は果てましたが、書道的な興味で読みました。著者の書に関する考えが多方面から伝わってきました。

しかし新聞や雑誌で決められた字数の中で書かなければならないことを、もちろん承知の上で言うと、見開き1ページは短すぎかも。もっと知りたい、もっと勉強したいと思うところがいくつもありました。本のそもそもの構成由来を無視して自分の理想を言うと、テーマを10本か20本くらいにしてじっくりテーマと向き合いたかったです。例えば空海の飛白体の項、もっと読みたかった!

最後に。エッセイとしての性格もしばしば現れるこのコラム集は、清水義範の言うところの「徒然草化」を何回か起こしていました。詳しくは『日本文学全集』(清水義範)を読んで下さい。

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