2016年2月15日月曜日

中田勇次郎(1983)『Chinese Calligraphy』

最近買った古本。


学生の時から、英語で書かれた書道の入門者向けの文献はないものかと探している。もともと大学で入っていた書道部に、海外からの見学者や部員がいたため、その人たちに読んでもらいたいと思って探し始めた。大学を卒業した今となっては、もう調べ出す必要もないのだが、私の個人的な探究心で、ありはしないかといまだに鼻を利かせている。

が、適当なものはなかなか見つからない。

以前にも書いたことがあるのだが、私の大学の図書館に関する限り、書に関する洋書は、ほとんどが中途半端な内容である。どういう風に中途半端なのかというと、たとえば

①一人の書家(たとえば米芾)を特集したり、個人のコレクションの紹介であったりして、内容が偏っている
②著者の書に関する知識が不十分であって学術的に内容が薄い
③日本人が書いていても、翻訳が下手であるか、間違っている

といった感じ。

英語教育である程度有名な母校の図書館でさえこの状況なのだから、一般の書店や他の大学図書館ではまず望み薄だろう。書道科のある大学ならありそうな気もするが、母校の近くにはそういう大学はなかった。

要するに、私が探し求めているのは、上の逆で、

1)内容が総合的で
2)書の研究者によるもので
3)誤訳のないもの

ということになり、さらに、

4)図版が豊富で
5)廉価で手に入れやすい

となれば理想である。

最初の1、2、3をなるべく満たし、なおかつ4を満たす本の一つが、中田勇次郎氏の『Chinese Calligraphy』である。存在は知っていたが、比較的安価でようやく手に入れることができた。本書は、1982年に淡交社から出された同氏による『中国の美術②書蹟』の英訳である。

一般に書に関する文献は「理論」、「実践」、「鑑賞」に分類されうるだろうと思うが、本書は理論を主とし、巻頭のカラー図版で鑑賞も兼ねる。

とはいえ本書は完璧ではない。

まず内容がやや高度であること。もともと日本人向けに書かれた本の英訳だから仕方ないことではあるが、たとえば漢字には篆隷楷行草の5体がある、といったごく基本的なことは、少なくとも図版を伴っては触れられておらず、海外の初学者には難しいということ。また書名から明らかなように、日本の書道は全く触れられていない。

もう一つは、条件5を満たしていないこと。本書は絶版で、入手が難しく、中古も値段が高い。

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