利き手のこと、知ってみたいでしょ?

今までのように、また本のことを書こうと思います。

大学入学でバタバタと忙しい時期にも、少しだけ本を読んでいました。埼玉に居候している間、ひまつぶしにと読書していました。居候していた時期というのは、5月2日の記事を読んでいただければ分かるように4月上旬ですから、1か月以上も前のことになります。何もかもが遅れていて申し訳ないです。

さて、その本は、左対右きき手大研究 (DOJIN選書 18) [単行本] / 八田 武志 (著); 化学同人 (刊)



実はこれは図書館で借りたので、全部読み終わらないまま、返してしまいました。2/3くらいしか読んでなかったと思います。

利き手に関する本です。ちなみに利き手研究も含め、左右脳の働きの違いに焦点を当てた研究分野をラテラリティー(laterality)と言うそうです。

私が読んだところまでの内容で申し訳ないのですが、本書は、利き手に関する良いも悪いも含めたいろいろな通説が、妥当なのかを統計的に検証したり、ちょっと立場を変えて、右利き、左利きはそれぞれどんな分野に長けているのかを検証したりします。

統計データを示して、そこから筆者が「左利き(あるいは右利き)は~~なようだ。」と推測を行ってのがたくさん続くわけで、単刀直入に言えば、内容に単調さを感じないではありません。私がこの分野にそれほど強い関心が無かったこともありますが、この単調さが、私をして読書に熱中せしめなかった1つの理由だと思います。

またもう一つ痛感したのは、利き手研究の弱点は、大部分が統計に依存していて、しかもそのデータの収集が非常に難しいということです。数学を始め、生物学、天文学、考古学など多くの自然科学分野は、ある確実な証拠を得ることができて、そこからある確実な結論を導くことができるという側面を、多かれ少なかれ持っています。しかし利き手研究の場合、定理や法則を見つけることがいまだ不可能なばかりか、予測さえ難しいのです。統計にすべてをゆだねる他に有効な手立てがないのですから、利き手研究にとって大きなボトルネックです。その上、左利きのデータは少なくて集めにくいですから、千人規模とか、統計的に有効なデータはかなり少ないと思われます。

つまり利き手研究は不確かなデータが多くて、不確かであいまいな結論が導かれざるを得ないのです。

ちなみに、意外に思ったことですが、利き手を決めるのは実は非常に難しい問題なんだそうです。実際、本書の筆者は「弱い」左利きだそうです。これもデータ収集の障害となっているばかりか、統計結果の信頼性にもかかわっているそうです。

利き手研究も含め、ラテラリティーのさらなる進展を期待します。

コメント

  1. チューイング2011年5月12日 22:53

    非常にためになる文章、見習いたいもんです(・_・;)

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  2. 確かに利き手って曖昧ですね。
    俺は右利きだけど、なんで左手になるとこんなに不自由になるのかさっぱり分からないものなあ。

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