やって後悔したならいいと思うよ

このブログ内でも何度か言及しましたが、今年は書道パフォーマンス元年というべき年ですね。書道パフォーマンスの大会は(少なくとも)数年前からありますが、テレビ等でこんなに大きく取り上げられ、漫画が描かれ、映画が公開されたのは前代未聞のことです。

その流れは少なからずわが高校にも押しよせおります。

私の書道部は、4月に部活動勧誘のために小規模ながらもパフォーマンスを行うのが恒例となっております。1年生の前で書いて見せるのです。

紙の大きさとしては約90×180cm。それを板に貼り付け、立てかけて書くという、テレビ等で見るものとは比べものにならないほど小さいものです。

ここで1つ問題がありました。いくら小さいといっても、あくまで形式上はパフォーマンス。パフォーマンスをやる上で、無くてはならないものが1つあります。わが書道部は何も常日頃からパフォーマンスをやっているわけではないので、これを持っていません。

墨でしょうか。硯でしょうか。

いいえ。筆です。

特大の筆が必要です。これが無い理由は簡単。高価なのです。いくら破格のものであっても1万は下りません。いいものになるともう1桁上がります。去年までは工夫して間に合わせていました(例えば去年は普通の筆をガムテープで十数本束ねて使いました)し、そもそも大きな筆の仕様、値段など、知る由もありませんでした。

しかし昨今のブームで大筆というものを見てしまうと、欲しくなってしまいます。(´・ω・`)

格好良さではありません。それ以前に、筆が小さいと線が紙の大きさの割に合わなくて見栄えがしないし、遠くの人にも見えませんが、大きいとそれらが解消されるという、きわめて実質的な利点がありました。

しかし高い。4月のパフォーマンスの前には、買うかどうかかなり迷って、結局買いませんでした。

しかし私はどうにかこうにか工夫したいと思いました。

買わないならば…

作るしかない

もちろん山羊や馬の毛を使った本物の筆を作ることは、その調達からして不可能です。そこで有効な手立てといったらわらしかないと思いました。

筆が機能する最低条件として以下のことがあげられます

・太さのある線を書くための、硬過ぎず柔らか過ぎないしなやかさ
・度重なる使用に耐えうる丈夫さ
・大きい筆の場合には長さも必要
・墨を吸いすぎないこと及び吸わな過ぎないこと
・墨もちがいいこと(墨をつけなくても続けて書けること)

これらをある程度満たしているものといったら、わらしかないと思ったのです。

自分の勘だけを頼りに作りました。どうか以下お付き合いください。ちなみにこれを作ったのは春休み中ですので、4ヶ月以上前のことになります。

まずはわらの根元のほうで作りました。藁はそのままではかなり硬いため、霧吹きで水をかけてひたすら揉んで柔らかくしました。

それで出来たのがこれです。一般的なのと比べてみました。(ピンボケ失礼)



しかしこれでは1本1本が太く、墨持ちが悪いどころか、線もろくに引けません。悩んだ末、藁の先端部分が使えそうだということに気がつきました。外側の皮をはぐと、丈夫な芯が出てきます。この先端は細く枝分かれしていて、しなやかさがあります。これを大量に集めてできたのがこれ。



穂長(見えている毛の長さのことを差しますがここではアバウトに)は約20cm。本物でこの長さなら十分ですが、果たして藁はどうでしょうか。学校で試してみました。

…思ったよりはよくありませんでした。

やはり墨もちが悪く、1画ずつ墨をつけなければならないほどです。それに大きさの割に太い線が引けません。しかしこれはあくまでパフォーマンス用。これくらい妥協し、使うことにしました。

藁筆は難しい。まあこのことが分かっただけでも、やった甲斐はあったというものです。

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