韻律音韻論のツリーを描くのは難しい メモ

メモ。言語学のやや専門的な内容。音声学、音韻論、形態論で論文を書く学生や院生が対象。 書いておかないと、どうせいつか忘れてしまうし、また言語学で論文を書く方にとっても以下の内容は有用と考えたので、書きとどめておく。この記事で私が伝えたいメッセージは2つ。(1)卒業論文を書いていて思った、音韻論の構造木を美しく描くのって、難しい。(2)構造木を美しく書きたいと願う学生のみなさんは、時間のある今のうちにTeXをかじっておくといいのかもしれまん。 キーワード:韻律音韻論 統語論 ツリー 構造木 描画 TeX Keywords: autosegmental phonology, tree, drawer, generator, TeX 1 構造木とは 言語学で構造木(樹形図、ツリー)を一番使うのは、統語論においてだ。たとえば、図1のように文を分析する場合だ。 図1 I like coffee しかし、韻律音韻論や形態論においても、統語論ほど複雑ではないものの、構造木は頻繁に登場する。典型的には、音節構造の記述や、単語の内部構造の階層を表示する場合である。 図2 音節構造とinternationalizationの階層構造 これを描くのが、まっこと面倒くさいのである。図形描画に関しては一般的なマイクロソフトのワードの知識くらいしかない私にとって、ちまちまちまちま直線を組み合わせて枝を作り、適当に文字のスペーシングをして作るのが関の山なのだ。学期末のエッセイのレベルだったらそれで十分だが、やはりそうして作った構造木は美しいとは言い難い。美しさは妥協するとしても、何より煩わしいのは、時間が掛かる上にちょっといじっただけですぐ構成が崩れてしまうことだ。ちなみに図2は、Google DriveのDrawingを使った。図2のようにいっそ画像にしてしまえばレイアウトの崩れる心配はないが、文字の部分は書き直しができないし、フォントサイズの統一も面倒だ。 2 オンラインサービスの限界 ブラウザ上で構造木を自動で描いてくれるサービスがいくつもある。「syntax tree drawer」などと検索すればいくつもヒットする。しかし、見つかるのはもっぱら統語論用のジェネレーターで、音韻論の構造木はそれらで対処しきれないものがある。例えば私が少...